千葉地方裁判所 昭和31年(行モ)2号 決定 1956年7月05日
申立人 大胡直司 外一名
相手方 千葉県知事
主文
相手方が昭和三十年十月十日申立人大胡直司に対してなした仮換地の変更指定処分の執行は昭和三十一年十月十五日までこれを停止する。
相手方は右の処分の執行を開始したり続行したりしてはならない。
(裁判官 高根義三郎 山崎宏八 浜田正義)
執行停止命令の申立
申立人 大胡直司
大胡瑞夫
右代理人弁護士 入江正男
相手方 千葉県知事 柴田等
申立の趣旨
一、相手方が昭和三十年十月十日申立人大胡直司に対してなした仮換地の変更指定処分の執行を停止せよ。
との御裁判を求める。
申立の理由
一、申立人大胡直司(以下単に直司という)は前記申立人肩書地に宅地百五十坪を所有し、その宅地上に一、木造瓦葺平家建住宅壱棟建坪三十坪を所有し、現にその家屋に居住中であり、申立人大胡瑞夫(以下単に瑞夫という)は直司の養子にして前記直司所有の宅地の一部を借受け同地上に一、木造瓦葺平屋建診療所壱棟建坪三坪を所有し、同建物にて獣医師を開業中であり、相手方は銚子復興土地区画整理事業施行者である。
二、而して、相手方より直司に対し昭和三十年十月十日附書面を以て、昭和二十四年二月十日付直司所有の前記宅地に対する仮換地の変更を指定する旨の通知があつたが、その後右仮換地の変更指定が違法のものであることが判明し、また瑞夫には前記の如く右土地の使用権者であるに拘らず同人に対する土地区画整理法第九十八条第一項による仮に権利の目的となるべき宅地の部分の指定をせず突然昭和三十一年二月十八日附書面を以て前記診療所の移転通知が来たので、これ等の違法処分の取消を求めるため御庁に対し同年四月四日仮換地変更指定取消の訴(御庁昭和三十一年(行)第二号)を提起すると共に、同日右違法処分に基く執行を停止させるための申立(御庁昭和三十一年(行モ)第一号)をなし、同年五月二十日まで執行を停止する旨の御決定を得た次第である。
三、その後本案訴訟につき、準備手続期日を同年五月十日午後二時と定められたが、同日は相手方の都合により延期されるに至つた。よつて直司と相手方において前記執行停止決定に基く停止期日を次回準備手続期日の十日後まで任意に延長することに合意した次第である。而して次回準備手続が同年六月二十六日午後二時と定められたので執行停止の期間も同年七月六日までとなつたのであるが、相手方は本案訴訟の答弁書を同日裁判所において提出する仕末であつたので同日は充分の審理も出来ないまま、続行となり、次回は同年七月三十一日午前十一時と定められた。
四、この間直司は山口銚子市議会都市計画副委員長等の仲介により隣地の立原一郎、小池某と協議し、直司においては仲介人及び申立代理人等の案に従うまでの誠意を示したが、立原等は妥協的態度を欠き、またここ数日間の動静により、前記執行停止期間中に示談成立する見込なく、また前記準備手続期日における指定代理人の前記執行停止期間経過と共に執行に着手するかも知れない旨の言明よりすれば同期日経過と共に執行に着手される虞充分であるから、本件申立に及んだ次第である。
附属書類
一、委任状
昭和三十一年七月五日
申立代理人弁護士 入江正男
千葉地方裁判所 御中